まず、結論からいうと乾燥肌に効く漢方薬はあります。
飲み薬で乾燥肌対策をするのってあまりイメージが湧きませんよね。
今回は、漢方における乾燥肌の考え方と乾燥肌に使う代表的な漢方薬について解説します。
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この記事の内容
漢方における乾燥肌の考え方
漢方では肌が乾燥しているのは全身に血液をうまく送れていないと考えます。
これを『血虚(けっきょ)』の状態といい、『血(けつ)』が不足することで皮膚まで水分や栄養が届かず、乾燥するというのが漢方的な考え方です。
なんだか難しい話ですが、つまり『血(けつ)』を身体に補ってあげれば皮膚まで水分や栄養がいきわたって改善するのでは?と考えられますよね。
これを『補血(ほけつ)』といって、そういった作用のある成分を配合した漢方薬を乾燥肌改善に使用します。
ベースとなるのは四物湯(しもつとう)で、この四物湯単独ではあまり使用しませんが、皮膚の血流低下を改善するためには重要な漢方薬です。
当帰(とうき)、川芎(せんきゅう)、熟地黄(じゅくじおう)、芍薬(しゃくやく)の4つの生薬から成り立っています。これらの成分によって血液を補って血流をよくします。
乾燥肌に使える漢方薬
乾燥肌に使える漢方薬を2種類紹介します。
当帰飲子(とうきいんし)
皮脂が少なくて乾燥し、かゆみのある症状に用いられます。
体質は冷え性の人が向いています。
当帰飲子(10成分)=四物湯+6つの成分
当帰(とうき)、川芎(せんきゅう)、熟地黄(じゅくじおう)、芍薬(しゃくやく)→これら4つが四物湯
蒺梨子(しつりし)、荊芥(けいがい)、防風(ぼうふう)、何首烏(かしゅう)、黄耆(おうぎ)、甘草(かんぞう)
温清飲(うんせいいん)
乾燥に加えて、炎症(湿疹)がある症状には温清飲が用いられます。
四物湯に加えて黄連解毒湯(おうれんげどくとう)を配合しているので、ほてりのある症状に効くと考えられます。
温清飲(8つの成分)=四物湯+黄連解毒湯
当帰(とうき)、川芎(せんきゅう)、熟地黄(じゅくじおう)、芍薬(しゃくやく)→これら4つが四物湯
黄今(おうごん)、黄連(おうれん)、黄柏(おうばく)、山梔子(さんしし)→これら4つが黄連解毒湯
乾燥肌に使える漢方薬の使い分け
乾燥が強いか、赤みほてりが強いかといった皮膚の状態である程度使い分けができます。
乾燥が強いとき
当帰飲子のほうが適しています。
温清飲も乾燥には効きますが、当帰飲子のほうが温清飲よりも乾燥やかゆみ対策の成分が多めに入っているためです。
夜間のかゆみが強かったり、引っ掻くと白い粉が落ちたりするほどの乾燥肌が使用例になります。
赤みやほてりがあるとき
乾燥もしているけれど赤みやほてりがある場合には温清飲のほうが適しています。
これは温清飲に炎症や熱を取る成分が入っているためです。
温清飲は四物湯+黄連解毒湯なので、四物湯の成分で皮膚に水分や栄養を届け、黄連解毒湯で炎症や熱を取るといった処方になっています。
つまり、乾燥しかない場合は温清飲を使う必要はなさそうです。
FAQ
よくある質問などを紹介します。
他にはどんな漢方がありますか?
一例ですが簡単に紹介すると、温清飲と似ている荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)、更年期に伴う乾燥には温経湯(うんけいとう)、お年寄りの乾燥には八味地黄丸(はちみじおうがん)といったように乾燥のタイプによって使い分けることができます。
ただ、基本的には上記でも説明した四物湯をベースとした当帰飲子、温清飲がメインになるかと思います。
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