漢方の68番といえば芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)です。
ふくらはぎの筋肉がけいれんを起こして激痛が走るこむらがえり…とても辛いですよね。そのこむらがえりに良く効くと言われているため使用頻度の高い漢方薬なのですが、副作用に注意が必要な薬としても知られています。
今回は漢方の68番の芍薬甘草湯の効果と、副作用を避けるための正しい飲み方を紹介します。
この記事の内容
芍薬甘草湯はこむらがえりに効果あり
芍薬甘草湯は こむらがえりに効果がある漢方薬です。飲んでから 5分程度で効くという即効性もあり、痛みが出てから飲む頓服薬に適しています。
その名前の通り、 芍薬(シャクヤク)と 甘草(カンゾウ)という生薬からできていて、それらに含まれる成分が相乗的に作用することで効果を発揮します。
透析や糖尿病に合併したこむらがえりにも効果があるので医療現場での使用頻度も高い漢方薬です。
こむらがえり以外には筋肉痛や腹痛、腰痛などにも使われています。
※参考文献…臨床神経 2013;53:938‒941
副作用に注意が必要
漢方薬には副作用が無いというイメージはありませんか?植物などから作られているので安全と思っている人も多いかもしれません。
確かに副作用の多い薬ではありませんが、漢方薬にも副作用はあり、特に芍薬甘草湯は注意すべき薬の一つです。
カンゾウは多くの漢方薬に含まれていますが、そのカンゾウを飲む量が増えれば増えるほど偽アルドステロン症を発症するリスクが高くなります。
初期症状としては手足のだるさ、しびれ、つっぱり感、こわばり、力が抜ける感じ、こむらがえり、筋肉痛でこれらがだんだんときつくなってきます。
こういった症状が出た時に68番の芍薬甘草湯を飲むので判別が難しいかもしれませんが、症状が続くようなら医師に相談。血液検査でカリウム値が低くなっていると偽アルドステロン症が疑われます。
症状が重くなると筋肉が壊れたり、脈が乱れたりします。
以下の表のように、芍薬甘草湯は他の漢方薬に比べるとカンゾウの量がとても多いです。
カンゾウの量と偽アルドステロン症を発症する頻度についてはこのようになっています。
カンゾウの量 | 1g | 2g | 4g | 6g |
予想される頻度 | 1.0% | 1.7% | 3.3% | 11.1% |
※日東医誌 Kampo Med Vol.66 No.3 197-202,2015
芍薬甘草湯の1日量にはカンゾウ6gが含まれるので、偽アルドステロン症の推定される発症頻度が高いことが分かります。
正しい飲み方
上記のような偽アルドステロン症を発症しないために、できるだけ飲む回数を減らすことが大切です。
他の病気の治療で漢方薬を飲んでいる場合、知らないうちにカンゾウを飲む量が増えてしまうことも。
特に市販の風邪薬にもカンゾウが含まれていることがあるため注意が必要です。(例…プレコール持続性カプセル、新ジキニン顆粒など)
痛みが出た時でもすぐ効果が現れる薬なので、症状の頻度や併用薬などを考慮して飲むようにしましょう。
芍薬甘草湯の市販薬を紹介
病院で処方されるのはツムラやクラシエといった漢方メーカーの芍薬甘草湯(68番)ですが、市販薬でも購入できるので紹介します。
コムレケア(小林製薬)
飲みやすい錠剤タイプです。
1日に飲める量はカンゾウ、シャクヤクとして6gずつなので処方薬と同等となっています。市販薬の中では処方薬の半量のものもあるので、使用できる量が多い商品です。
詳しい飲み方などは添付文書を確認してください。
ツラレス(ロート製薬)
飲みやすい錠剤タイプです。
こちらも1日量としてカンゾウ、シャクヤクそれぞれ6gずつとなっており、飲める量は処方薬と同等です。
詳しい飲み方などは添付文書で確認してください。
よくある質問
ここではよくある質問を紹介したいと思います。
処方薬と市販薬の効果は同じですか?
芍薬甘草湯の場合、処方薬も上記に挙げた市販薬も1日量はカンゾウ6g、シャクヤク6gから抽出したものなので基本的には同じです。
ただ、使っている量が同じでも錠剤タイプと顆粒タイプで効き目に差が出ることがあるかもしれません。
そして市販薬の中には1日量が処方薬の半分程度のものもありますので、商品の説明をしっかり見るようにしましょう。
ちなみに、処方薬でツムラ68の芍薬甘草湯1包はコムレケアとツラレスの1回量4錠分と同じ量になります。
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