ドラッグストアで働いていると、「睡眠薬は売っていますか?」とよく聞かれます。
病院でもらった薬が無くなったので買いに来た人、眠れないので眠れるようになる薬を探しに来た人など様々ですが、こういった方が期待している商品は売っているのでしょうか?
今回は睡眠薬が市販薬で購入できるのか解説します。
この記事の内容
睡眠薬は購入できるか?
睡眠薬は医師に処方してもらう必要があり、市販で購入することができません。
市販で購入する場合は睡眠改善薬という全く違った成分になってしまいます。
では、睡眠改善薬とはどういったものなのか、次で解説します。
睡眠薬と睡眠改善薬の違い
それぞれの特徴を挙げます。
睡眠薬
- 医師の処方が必要で市販での購入は不可
- 寝つきが悪い、途中で起きるなどの症状に合わせて作用時間の違う薬、強さの違う薬を医師が処方している
睡眠薬は必ず医師の処方が必要です。処方してもらって飲んでいる方にとって、同じような薬をドラッグストア等で購入することはできません。
睡眠改善薬
- 市販薬で購入可能
- 一時的な不眠に使用する(病気に伴う不眠、ずっと続いている不眠には使用しない)
- 効果は睡眠薬ほど期待できない
睡眠薬との大きな違いは、効果が睡眠薬よりもかなり劣るということです。
もちろん眠くなる成分が使用されているので眠くなる人にとっては眠くなりますが、処方せんの薬を飲んでいた人が市販薬で代わりのものを探している場合は効果は期待できないと思います。
⼀時的な不眠とは旅⾏や⼼配事などで数⽇程度眠れないことをさします。(睡眠薬の適正な使⽤と休薬のための診療ガイドライン Q28)
何日も続いている症状には使用できないので病院(睡眠外来等)を受診しましょう。
睡眠改善薬の例
睡眠改善薬の例をいくつか紹介します。
ドリエル(エスエス製薬)
睡眠改善薬の代表例のドリエルについてです。同じ成分の商品は多いので、同じように考えて頂ければ大丈夫かと思います。
- 成分名:ジフェンヒドラミン
- 抗ヒスタミンの副作用である眠気を利用している
- 飲み方:就寝30分前くらいを目安に飲む
睡眠改善薬はこのジフェンヒドラミンを使用した商品がほとんどです。
アレルギーを抑えるための抗ヒスタミン薬に分類される成分で、副作用の眠気が結構出やすいのでそれを応用して作られました。
効果は30分くらいから出てくると考えられます。
実はこの成分は市販の酔い止め薬にも使われている成分で、乗り物酔いを抑えると考えられています。眠気によって寝てしまって乗り物酔いを防ぐという目的でもありますね。
このドリエルですが、注意点が多いので紹介します。
- 飲めない人:妊娠中・または妊娠の可能性がある人、授乳中、15歳未満、日常的に不眠、不眠症の診断を受けた人
- 一緒に飲めない薬:風邪薬、解熱鎮痛剤、咳止め、抗ヒスタミン薬が入っている飲み薬、他の催眠鎮静剤
飲めない人、一緒に飲めない薬が多いですね。
風邪薬や解熱鎮痛剤、咳止めは成分がかぶっていなくても一緒に飲めないので注意しましょう。
スリーピンα(薬王製薬)
スリーピンαは抑肝散(よくかんさん)という漢方薬です。
神経の興奮を抑えることで眠りを誘うと考えられます。
効果は、合う人には合うといった感じでしょうか。『睡眠薬の適正な使⽤と休薬のための診療ガイドライン Q27』では不眠症に効果があるというデータは乏しく推奨されないとのことです。
メラトニン
メラトニンは睡眠に関わるホルモンです。睡眠を誘う作用があるので、そのメラトニンを摂取することで眠気を促すと考えられています。
毎日同じ時間に飲むことで睡眠のリズムを整わせる効果はありますが、眠れない時に飲んでも効果はあまり期待できなさそうです。
そして、日本では製造・販売ともに認められていません。(並行輸入は認められています→eヘルスネット)
まとめ
眠れない時に飲む薬で、市販薬で対応する場合はジフェンヒドラミンの睡眠改善薬が一番良さそうです。
しかし、効果はあまり期待できないので不眠が続くようであれば病院を受診しましょう。
漢方やメラトニンも同様で、眠れない時に飲んでも効果はあまり期待できませんが、睡眠のリズムを整えたり眠れない原因がストレスだったりする場合は試してみてもいいかもしれません。
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